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35. 留学予備校 2/3 [留学の準備]

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河合塾の留学予備校に入塾し、すぐに英語の学力試験がありました。学力により3クラス振り分けられると聞いていました。1番優秀なクラスは生徒が10人の少数精鋭クラスでした。2番目のクラスは20人のクラス、そして英語ができない人が入る3番目のクラスが20人です。高校時代、一番苦手な教科が英語だった私は2番目のクラス、高校の同級生・中川は3番目のクラスに入りました。

総勢50人の予備校はこうして始まりました。初日はオリエンテーションです。生徒全員が自己紹介をしていきます。集まっている生徒はとてもバラエティに富んでいました。北は北海道、南は熊本から来ていました。地方からの生徒は河合塾が用意した学生寮で生活しているようです。東京の自宅から通う生徒は30人程でしたので20名は地方からの参加ということになります。地方からの生徒はまだ緊張しているようでした。男女比は半々でした。
生徒は、全員がアメリカの大学に進学を希望していました。ヨーロッパやオーストラリアに行こうとしている人はいません。ただ、人それぞれいろいろなバックボーンを持っていて興味深かったです。

校舎は小田急線下北沢の近くです。月曜から土曜日まで毎日朝から夕方まで授業がありました。いわゆる大学受験予備校と違い、毎日びっしりとカリキュラムが組まれていました。
予備校には電車で約1時間かけ通いました。毎朝8時ちょっと前に駅に集合し、高校時代の友人・中川と一緒に通学します。西武新宿線は当時も壮絶なラッシュ時間帯で、郊外から東京に通う企業マン達に揉まれながら電車に乗ることになります。このラッシュがとても辛かったのを覚えています。

入塾2日目から授業が始まりました。
生徒の英語レベルは非常に幅広く、1番優秀なクラスに入った生徒はほとんどが帰国子女でした。子供の頃海外で生活経験があり、親の仕事の関係で日本に戻って来たけれど大学はアメリカに戻りたいという人たちです。帰国子女でない生徒も優秀で、親類がほとんど医者だで何が何でもエール大学医学部に入りたいという男性、家が農家でアメリカの田舎で最新の農業技術を身につけたいと予備校に入ってきた東北弁の抜けない男性などがいました。そんなメンバーのクラスは普通に英語が話せる人が多かったです。

私が入った2番目のクラスには、英語能力は日本の標準といった感じでした。高校卒業レベルの英語理解力はありました
。クラスメートは20人がいましたが、毎日予備校に通っていたのは15人くらいです。家の関係で留学を断念しなければならない人や、親元を離れて寮で暮らしている人は、東京という町で満足してしまい、アメリカへの夢を失ってしまった人などなど。数ヶ月で数人が消えていきました。
クラスで仲良くなったのはアキラです。彼は神奈川県の実家から通っていました。父親は大手電機メーカーの研究員です。アキラ自身はファッションデザイナーを目指していて、アメリカのデザイン学校でファッションの勉強をするのが夢でした。ほかには、熊本から出てきたリュウも仲良くなりました。彼はビジネスチャンスをつかみアメリカで大成功を狙うというなんだか大きな野望を持っていました。リュウは下北沢の寮に住んでいて、同室には同じ九州出身の山田がいました。彼はおとなしいのですが映画監督になる夢を持っていました。

3番目にクラスにおおかったのは、日本の大学に入れなかった学生です。親が大金持ちで、アメリカにでも行ってこいと言われた目標なき人々です。ハリウッドで俳優を目指すという人、ロサンゼルスで数年暮らせば良いという人など、なんとなくやる気がない感じのするクラスでした。中川は、そんな金持ち達と仲良くなり、夜な夜な新宿や渋谷で夜遊びするようになっていきました。

それぞれ個性の強いティーンエイジャーが日本全国から集まっていました。その中で私は東京の高校を卒業し、アメリカの大学を目指すとても地味な学生でした。クラスも真ん中だし、個性も強くないし、見た目も普通。逆にこの普通さが目立つくらい、予備校に集まった学生は変わっていました。

予備校、正式名称じゃ河合塾グリーンアカデミー。
午前中は、TOEFLの成績向上を目指す勉強を中心に行います。アメリカの大学に入るためには当時550点以上のスコアが必要でした。この数字を得るための勉強です。そして、アメリカの大学に入った後、きちんと授業に着いていくための勉強もしました。アメリカの大学の仕組みやノートの取り方など、実際に入学後に困らないための勉強です。これは後でとても役に立ちました。
午後は、カウンセリングです。このカウンセリングがとても有意義でした。生徒に海外留学経験のあるカウンセラーがついてOne on Oneで将来のビジョンを描き、それを達成するためのロードマップを考えていくのです。自分の人生の目標は?そのために選ぶ大学は?行きたい大学に入るためのアプローチは?時間をかけこれら目的を整理していきます。

私の場合、人生の目標は映画を作るという仕事に従事したい。行きたい大学は、ジョージ・ルーカスが卒業したUSCかUCLA。そのためには一生懸命英語を勉強する。といった話をしたのを覚えています。
しかし、アメリカの有名大学に入るのはそんなに甘くはないのです。簡単に入れるならもっと沢山の学生がトライしているはずです。50人の学生が行きたいと思っていた大学は、ほぼ全員が入れないことがわかりました。私も同様です。
まず、英語能力が規定値に達しません。そして高校時代の成績が要求値に達していないのです。アメリカの大学は、入学試験で合否を判定しません。高校時代の成績や日常生活の経歴、そしてTOEFLなどの公的な機関が行っている学力試験の数字を総合的に見て判定するのです。今更ですが、高校時代もっと良い成績をとっていればと後悔しました。そして、取り返しのつかないことに悩みました。

入学後1ヶ月が経ち、現実を突きつけられおおくの学生が落胆し、留学予備校に入ったことを後悔し始めたとき、河合塾は素晴らしいカウンセラーを招聘しました。ニューヨークにあるドルトンスクールの先生です。ドルトンスクールというのは、アメリカの富裕層の子供がお世話になる学校で、カウンセラーがなんとかして有名大学に子供が入れるよう動いてくれるのです。普通は、個人が払えるような金額ではないギャランティーを要求されますが、河合塾は、かなりの金額を出して先生を日本に呼んでくれ、我々学生のカウンセリングを行ってくれました。

私がドルトンスクールの先生との話に与えられたのは2時間です。そこで言われたことが私の留学成功の大きな鍵になりました。まず、私の希望と現状の資料を渡しました。すると、USCやUCLAなど西海岸の大学を目指すべきではないとはっきり言われました。西海岸には不良日本人が沢山いて私のような気の弱い学生は、事件に巻き込まれる可能性が高いこと、そして日本人と仲間になり卒業するのがほぼ不可能になることなど指摘されました。
そして、東海岸に行くことを勧められたのです。その頃、日本ではアート映画ブームが起きており、ジム・ジャームッシュやスパイク・リーなどが注目されていました。彼らが卒業しているNYUにも興味があったので学校名を口に出すと、私の学力では入学が難しいと指摘されました。
先生は、画期的な提案をしてくれました。「まず、ニューヨーク州立大学に入りなさい。州立大学ならばあなたの学力でも入学でき、授業にもついていけるはずだ」と。「そこでAを取り続け、校長先生から推薦状をもらえばNYUに転入できるはずだ」と言うのです。大学に2つも行くのは大変だなあと思っていると、費用についてもアドバイスしてくれました。NYUは、私立大学なので授業料がとても高いのです。よって授業料の安い州立大学で単位を稼げば、最終的には留学費用を圧縮できるという美味しいお話です。

多くのことを得ることのできた河合塾。しかしその中でも一番の収穫は、この2時間のカウンセリングでした。この2時間が、その後の私の人生を大きく変えたと言っても過言ではありません。そのくらい意義のあるアドバイスだったのです。

私は、ドルトンスクールのカウンセラーの指示に従い、勉強をしてニューヨーク州立大学に入るべくアプリケーション・フォームを取り寄せ準備を進めていきました。

他の生徒の反応は様々でした。きちんと目標を提示できなかった生徒は、当然はっきりとしたカウンセリングができなかったようです。中にはカウンセラーの意見を聞かない学生もいました。西海岸の大学に固執している人がおおかったです。いろいろな考え方があり、正解がある訳でもないのですが、その後の50人を見ると、このカウンセリングをどう受け入れるかで人生がおおきく左右されていくのでした。

それはこの後、おいおい書いていきます...

(2017.1.10 Rev.)


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chachamaru5

興味深く読ませて頂いております。NYU卒の知人がいますが、学生生活の話などとんとしてくれません。恐ろしく勉強したそうですが。やはり半端なことでは留学は出来ないんですね。次の記事も楽しみにしております。
by chachamaru5 (2009-11-11 01:33) 

Silberling

chachamaru5 さん、こんにちは。
購読ありがとうございます。

by Silberling (2009-11-16 03:12) 

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